レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
おばさまの登場で、この場の空気が少しだけ和んだから。良かった…と、ほっと肩を下ろす。
これ程までに、この人の存在がありがたいと思ったことはない。
「おばさま、お久し振りです」
「ごめんね、心配かけちゃって。もー、この人ったら突然倒れちゃうから、びっくりしちゃって……」
なんて唇を尖らせるおばさんは相変わらずで、今度は太央に顔を向けて言葉を続ける。
「太央くんもいない時だったしー。何で帰ってきてくれないのよ」
「ごめんなさーい」
「捜索願い出そうとしたのよ?でも成央くんが止めるから……」
「うわー、兄さんに感謝しなきゃー」
おじさまの3人目の相手は、とても良い人だけど少し稚拙さがあるというか……気難しいおじさまとは正反対で。太央も嫌いなタイプではないと思う。
検温のタイミングでも病室を出ると、おばさまが困ったように息を吐いた。
「今ね、成央くんが家に帰ってきてくれてるんだけど」
「じゃぁ、俺帰らなくても大丈夫じゃん」
「太央っ!」
「やっぱり、入院が長引きそうだから心配で。少し早いけど、成央くんに家に帰ってきて貰おうと思ってるの」
それは、つまり成央さんが今住んでいるアパートから出て本家に戻る、という事なのだろうか。