レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「もー、志保さん。何でお返事くれないんですか?あ、私だって分かりませんでしたか?」
おばさんが用があるからと会計受けへ向かうと、その場に私と太央と奈都さんの3人が残される。
「私、その……知らない連絡先には返さないようにしていて」
「そうだったんですね!じゃぁ、登録しておいてくださいね」
彼女からギラギラと向けられる視線に、思わず目を反らす。
「でも、あんな沢山のメッセージ突然送られても困ります」
「ふふっ、成央くんにもよく言われまーす」
久し振りの彼女は、相変わらず小柄で可愛らしい雰囲気を醸し出していた。
「奈都ー、志保ちゃん困ってたよ。LINE入れすぎだってー」
「えー、だって返事がないんだもん!」
太央が会話に加わってくれたおかげで少し空気が和らぐけど。成央さんと同じ、甘い薔薇の香りに胸がぐっと苦しくなった。
──じゃぁ。断れば良かったじゃん。自分で
水族館での、この子の言葉が脳裏によみがえる。
誰かに流されて、言われるがままの人生じゃ駄目なんだ。
きちんと事実を、自分の気持ちを相手に伝えなくちゃはじまらないから。
「あ、あの困るんです。ごめんなさい、私はあなたと仲良く出来ません」