レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
なんだか、私だけどこかに取り残されて違う世界にいるみたい。
ただ唖然と2人の会話が耳に入ってくるだけで、息を吸うことも忘れてしまいそう。
「うふふ。結婚式、もちろん呼んでくれるんですよね!すっごく楽しみにしてまーす!」
にっこりと笑顔をみせる彼女の声が、とても遠くに感じた。
そのまま、私達に背中を向けておじさまの病室の方へと歩いていく。
私がその場にペタンと地面に座り込むと、
「大丈夫ー?」
と太央も続けてしゃがんで顔を覗き込んでくるから無言のまま頭を横に振った。
「撮られてたなんて、全然気が付かなかったねー」
コクン、と小さく頷く。
「興信所使うなんて、奈都やばいよねー」
立ち上がった太央が手を差し伸べてくるけど。茫然と力が抜けた屍状態の私は、腰が抜けて力も入らず立ち上がれない。
私が奈都さんの存在を知るずっと前から、彼女は私の事を知っていた。
ずっと、ずっと。成央さんの婚約者がどんな相手なのか探られて、人を雇ってまで監視されていたなんて。
「志保ちゃーん、同居の件なんだけどー。成央くんに電話してみたらオーケーだって……て、志保ちゃん座りこんじゃってどうしたの?」
後ろからおばさまの声が聞こえてきたけど、何て返事をしたか覚えていなかった。