レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
08.寝台
「三木先生ヤバいよ。ちょーっと生徒達の間で噂になってるみたい」
学校に出勤すると、職員室の扉の前で橘先生に止められた。
「え……?」
彼女が眉間に皺を寄せて深刻そうに声をかけるから、血の気がサーッと引いていくのが自分でも分かる。
まさか、もう奈都さんがあのデータを学校宛に送ったのか。
「て、先生!顔色やばいよ!ちゃんと眠れてる?」
「あの、噂って、なんの話ですか……?」
もしくは生徒が観覧するような所にあの写真を……?
「ご飯は食べてるの?もともと細いんだから食べなきゃダメだよー」
橘先生が私の身体を心配そうに触って、最後に首の後ろに手を当てた。
「うーん、熱はなさそうだけど…」
「少し疲れてるだけなので大丈夫です。それで、……まずい話って何でしょうか」
「あー、生徒たちの間でさ。三木先生と黒木くんがデキてるって噂になってるんだよ。理事長の耳にも入ってるみたいでさ」
やっぱり。
頭の中が真っ暗になっていく。
橘先生が見せてくれたのは、何枚かの画像。そこに写っているのは太央と私の──、
「三木先生、理事長が呼んでます」
軽率な行動が自分の首を閉めることになるなんて。