レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
親に決められたと言ったら聞こえは悪いかもしれない。けど、昔から憧れていた彼と共に生きていけるのだから幸せが待っているにちがいない。
あちらの両親にも受け入れられ、私の両親だってそれを望んでいるし。
「デザートはどうする?追加しようか?」
成央さんがメニュー表に視線を落とすけど、久しぶりのデートなのだからそわそわしてしまう。
「デザートはいりません」
「え?」
「今日、成央さんち寄っていいですよね?」
膝の上に置いた拳をぐっと握りしめる。
早く2人きりになりたいと思ってるのは私だけなのか。
「えー、いや……。うち汚いから」
「そんなの、知ってます」
見た目完璧で優しい雰囲気が醸し出ている男の人なのに、片付けが苦手な成央さん。
いや、苦手というか。きっと彼には片付ける概念がないのだけど。
年上だけど、完璧な彼が完璧じゃないそんなところさえ可愛いと思えてしまう。
「でも、今日はちょっと」
「それとも、家に上げられない理由でもあるのでしょうか?」
「……いや。じゃぁ、行こうか」
私が食い付けば、成央さんが少し眉を下げて小さな息を吐く。
そして、慣れた手付きでウェイターを呼んで会計の準備をはじめた。