レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
敷いてある布団はフカフカで、私の為に干しておいてくれたのだろうとおばさまの顔が思い浮かび。申し訳ない気持ちになりながら目を閉じた。
静まり返った部屋に、柱時計の針の音だけが響いて耳に入ってくる。
全然、眠れない。
どのくらい時間がたっただろうか。
ゆっくりと体を起こして、バックから小さな箱と鞄からミネラルウォーターを取り出した。
箱を開けて、銀色のシートの凸凹の部分を親指でパチンとアルミを破いたところで──。
「なにそれー、なんの薬?」
「……勝手に開けないでよ」
太央が襖の縦枠に寄りかかって立っているから、とっさに錠剤を手の平に握って隠した。
「おやすみの挨拶と思ったんだけどー。そんなの飲んでんの?」
「……」
「睡眠導入剤って効くのー?てか眠れないまま?あの日はぐっすり寝てたのにね」
パタンと、襖が閉じられて。太央がにこにこと近づいて、私の前にしゃがみ込んで頭を傾げる。
「てっきり兄さんの部屋で寝るのかと思った」
「あんな部屋じゃ眠れないでしょう?」
「あははー、確かに」
「あなた、何しに来たの?嫌味でも言いにきたわけ?」
「うわー、冷たい。ここ俺の家だよ?」