レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
朝起きると太央の姿は客間になかった。
きっと私が眠りに落ちてから、自分の部屋に戻ったのだと思う。
「じゃぁ、また来てね!待ってるわね~」
「今日は朝から仕事が入ってて、送ってけなくてごめんね」
「はい、大丈夫です。お世話になりました」
家の前で、おばさまと成央さんの2人に見送られて、少しの罪悪感にまともに顔をみることが出来なかった。
大きめのトートバックを肩にかけてバス停までの道程を歩き出す。
成央さんは、昨日の事をどう思ったのか。嬉しそうに見えないのは、どうしてなのだろうか。
正直、言葉にするのは早まったと思う。そもそも彼と別れるなんて、私1人の問題ではなくて、私に決定権があるとは──。
大きな通りに出たところで、突然に手首をガシッと捕まれた。
「志保さーん!もー、探しちゃいましたよ。良かった、見付かって」
「……奈、都さん…?」
息を切らす彼女は、某ファミレス店の制服を身に纏っていた。駅前の店舗から走ってきたのだろうか。
「成央くんのお家の帰りですよね!?本当は私も昨日行きたかったんですよー!!けど仕事抜けられなくて。すっごく残念だったんです!でも、良かったぁ~。志保さんに偶然会えて!!」