レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「場所はここでいいです。単刀直入にお話します。奈都さんにお願いがあるんです」
移動なんてしたら、彼女のペースに巻き込まれるだけだ。
唇をぐっと噛み締めて頭を深く下げれば、通りすがりの人にチラチラと視線を向けられる。
「えー、頭なんて下げないで下さいよ!もー、何ですか?」
「あの写真のデータを消却して貰えませんか?お願いします。な……、成央さんとも……別れますから」
掠れるように絞り出した台詞に、息が止まりそうに苦しくなる。
「何で、成央と別れようと思ってるんですか?」
「え……?だって、成央さんが好きなんですよね?」
彼女の不満そうな声のトーンに顔を上げた。
でも眉を潜めた表情は一瞬で、みるみると瞳が輝いていく。
「好きですよ!すっごく、凄く……大好きです!!高校の頃に私から猛アタックしたんです。好きだから付き合って下さいって!!」
以前、太央から聞いてはいたけど、高校から切れてないのは本当だったんだ。
「だから嬉しかった~!成央にOKを貰えたときは、本当に信じられなかった」
頬を赤らめて、ふふっと口許を緩める彼女を見て、恋する少女にも見えて頭が混乱しそうになるけど。