レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
奈都さんの口調に、周囲の人にあからさまに振り返って視線を向けられるけど、彼女が気にしている様子はない。
「じゃぁ、私に何をしろと言うんですか?奈都さんは、一体何をすれば満足するんですか?」
この人は私の事を調べあげているから、私が父親に口答え出来ない事を知っているのだろう。
彼女に威圧されそうになるも、ぐっと歯を食い縛った。
「まぁ、とりあえず結婚してもいーですよ。成央は志保さんに情だけはあるみたいですしね!」
「あ、あなたはいいんですか?好きな人が別の人と結婚しても……」
「嫌ですよ?でも、好きな人の地位も応援したいじゃないですか!」
凄くショックだった。1番考えたくなかった答えだ。
何で成央さんが私との結婚を受け入れたのか。メリットは1つしかないだろう。
上司の娘だから、跡取りとして社長の椅子を約束されるから──。
「じゃあ、成央があなたのお父様の会社を継いで社長になって落ち着いたら、離婚してくれますか?そうしたら、データは全て消却するって約束しまーす!」
この人に何を頼んでも無理な気がしてきた。
彼女の思考についていけなくて、もう、データなんてどうでもよくなってくる。