【完結】旦那には好きな人がいるらしいので私は身を引いて離婚します。
第五章 「溺愛」
風に揺られているカーテンの隙間から入り込む陽の光が起きる時間だと瞼をノックする。
鼻を刺激するいい匂いに油のジュウジュウと鳴る音をBGMに私は横になったままうっすらと目を開けた。
「もう、朝……?」
昨夜は、池上さんとの件が解決してホントの意味で旦那と完全に和解することができた。
「奈々、朝ご飯もうすぐ出来るんだが飲み物はコーヒーで大丈夫か?」
「…樹さん、おはよう。うん、コーヒーで大丈夫だよ」
久しぶりに見たエプロン姿の旦那に思わず笑みが溢れる。
「ねぇ、樹さん。これからも一緒にいようね」
「…あぁ、これからも一緒だ」
優しく微笑む旦那に手を伸ばして、私たちは優しくて甘い口付けを交わした。