真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
担架で運ばれて行った神尾。

「大山さん、気をつけて」

「おう!まずは神尾のカタキを取らなきゃな」

大山が闘技場に上がる。

神尾の敗北にざわつく場内が、再び大きな歓声に沸く。

「こいやっ❗️」

その叫びと共に、試合が始まった。

さすがに慎重に間合いを取るアグル。

それを全く気にせずに、大山が右手を伸ばす。

(かけてみろ)

その誘いは、アグルのプライドを傷つけた。

瞬時にその腕を掴んで飛び上り、足を絡め、キメる。

大山の肘と手首が悲鳴を上げた。

逆らえば、折れる可能性がある。

大山の大きな体が、仰向けに倒れる・・・はずであった。

が、彼はピクリともせず、獣を腕にぶら下げたまま立っていた。

アグルの顔に恐怖が浮かぶ。

「おぉぉぉおっ❗️」

叫びと共に、大山が渾身の力で右腕を振り下ろす。

「ドガッ❗️」

アグルは、頭から闘技場の床に叩きつけられた。

わずか20秒で、勝負はついた。

場内が、圧倒的な勝利にいっそう沸き立つ。

しかし、その歓声は、すぐに静まっていった。

闘技場に、ボブ・シリンダーの巨漢が立っている。

大きな大山が、小さく見えた。

(これが同じ人間か?)

復讐に燃える大山に恐怖はなかった。

「はぁっ❗️」

「ドーンッ!」

試合開始の合図と共に、大山の蹴りが、巨漢の左脇腹を捕らえた。

(・・・⁉️)

大山の足を受け止めたまま、ボブが笑う。

「その程度か、チビ」

巨漢が大山の左足を抱える。

「フンッ!」

捕まった足を支えに、飛び上がった大山が、右足で上段蹴りを放つ。

「パーーン❗️」

その足をボブの右手が軽く払い飛ばした。

その手を振り上げ、掴んだままの大山の左足に振り下ろす。

「バキッッ⁉️」

「ぐぉッ❗️」

太い膝が不自然に折れ曲がった。

闘技場に大山が転がる。

「大山さん!逃げて❗️」
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