真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
ラブの声は、間に合わなかった。

ボブの巨漢が、大山の上に落ちた。

「ドドーーンッ⁉️」

地響きが伝わる。

大山のあばらが砕かれ、肺に突き刺さる。

ラブの体が闘技場へと跳んだ。

「パーンッ❗️」

着地と同時に放った回し蹴りが、ボブの顔面にめり込む。

たまらず、巨漢が退いた。

「大山さん!」

ラブが大山の大きな体を抱き起こす。

「ガハッ!」

肺からの大量の出血に、大山がむせる。

「大山さん、ゆっくり息をして!」

ラブの呼びかけには、もはや応じられなかった。

呼吸できない大山の顔に、ラブの顔がかぶさる。

気道に溜まった血を、自分の口で必死に吸い出すラブ。

その処置のおかげで、ドクターが駆けつけた時には、大山の状態は何とか持ち直していた。

彼の手が、血だらけのラブの口元に触れる。

その手を両手で包み、頬に当てるラブ。

「ラブさん・・・すまない。・・・棄権してくれ・・・。あなたが戦う必要は・・・ない」

「ばか❗️何のためにここへ来たのよ!お兄さんのカタキを取るんでしょ」

「もう・・・いいんだ。忘れて・・・ください」

「ふざけないで❗️こんなの見せられて、忘れられるわけないじゃない❗️」

ラブの涙が、大山の頬に跳ねる。

フっと微笑んで、大山は意識を失った。

「彼を・・・よろしくお願いします・・・」

ドクターに告げるラブの拳が震える。


ラブの背後に、ボブの巨漢が立つ。

「しぶとい奴だ。さっさとくたばれば・・・」

そのボブの言葉が途絶える。
ラブの拳が、巨漢の腹に肘までめり込んでいた。

「グアッ❗️」

味わったことのない苦痛に、ボブの顔が歪む。

「それ以上、口を開くな❗️」

「ヒュン!」

ラブの体が巨漢を回り込む様に舞う。

目視では捕らえられない程のスピードで回転した体から、大きくしなった脚が伸びる。

「ガシンッ❗️」

ボブの延髄に、ラブのかかとが叩きつけられた。

「ズダーン…」

たったの2発で、巨漢が、闘技場の床に沈んだ。


さっきまでの惨事に、静まり返っていた場内に大きな歓声が戻る。

「ラブ~!そいつもヤッツケろー❣️」


「パン、パン、パンッ」

闘技場の端に、マイク・レイズの長身が、拍手をしながら現れた。
< 105 / 188 >

この作品をシェア

pagetop