真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
朝の爽やかなオープニングソングが流れる。


「おはようございます。今朝は臨時ニュースのため、山本リサがお伝えします」

山本の右に一つ空いた席。

その両サイドには、分析技術の専門家、超常現象研究家、宇宙工学博士、人類学研究者など、様々な分野の専門家が並んでいた。


「この放送は全世界生放送でお送りいたします」

少しの間・・・

グっと歯を噛み締める山本。

「みなさん・・・。私たちのアイドルである、T・ラブについて、私たちは大変驚きの写真を入手しました」

(ふぅ・・・)

「先日の武道館での試合を覚えていますでしょうか」

テレビに、マイク・レイズ戦のシーンが流れる。

「ラブさんは、当初は劣勢かと思われましたが、最後には「聖拳」を駆使して、この巨人を倒したのです」

終盤の映像がスローモーションに切り替わる。

「問題の場面はここです」

ラブが巨人の背後に回った後、画面が一瞬途切れた。

次の瞬間には、マイク・レイズの体は、前のめりにマットへ沈み込んでいったのである。

「この瞬間、何かの光を見たという証言もありましたが、どのカメラもそれを捉えることができませんでした。いえ・・・、そう思っていました」

世界中が、息を呑んだ。

「しかし、奇跡的に、1枚だけあったのです。これが、その写真です」

画面に例の写真がアップになった。

巨人に添えられた手首に光る輪。
そして、ラブの額に現れた光る図形。

巨人が、絶望の目でそれを見下ろしていた。


世界中にどよめきの声が上がった。
< 119 / 188 >

この作品をシェア

pagetop