真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
山本が続けた。

「この写真は、ここにお見えの各分野の専門家の皆さんに、本物であることを分析してもらっています。ですよね?」

「はい。この写真は、昔のカメラ・・・そうですね、化石の様な旧式のカメラで撮られたものであり、合成しようのないものです。フィルムの分析も実施しました。間違いなく本物です」

分析の専門家、岸谷技師が言い切る。

「では、これは何だと思いますか?」

「分析の結果、この光は、強大なエネルギー波を発していることが分かりました」

超常現象研究家の諸星教授。

「我々人間に可能なものでしょうか?」

「私は、俗に超能力者と呼ばれる人々と関わり、その事実も把握しています。ですが、この光は、到底我々人間に可能なレベルではありません。しかも・・・」

教授が少し詰まった。

「しかも、何ですか?」

「この光の波長は、地球上のものとは全く違う性質を持っているのです。その業界の者が分析すれば、一目瞭然の事実です」

スタジオ内でさえ、驚きを隠せず、ざわめいた。

「では、そんな光を発するこの人物・・・、トーイ・ラブは、地球外の生命体だということですか?」

「だ・・・断言はできませんが・・・、そう考えるのが妥当と考えます」

山本には、世界中の叫びが聞こえた様な気がした。


「この放送をご覧のみなさんは、どうお考えになるのでしょうか。その答えをハッキリさせるべく、本人にお越しいただいています。ラブさん、どうぞ」


スタジオの奥から、ゆっくりラブが現れた。


白い長袖の大きな襟付きシャツに、黒の長いパンツ。

優しい笑顔は・・・ない。

いつものラブではなかった。
そして、いつもの拍手もなかった。

山本が立ち上がり、黙って静かに隣の椅子を引き出す。

しかしラブは、メインテーブルの前、スタジオの中央で止まり、カメラへ振り向いた。

そして、その床へひざまづいたのである。


「ラブ・・・」

鷲崎首相、バーン米国大統領、ベルベット長官(EARTH)、・・・世界中のラブと親しい人々が、同時につぶやいた。
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