真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
~TERRAの展望ルーム~


防弾ガラス貼りのこの部屋は、主に来客とのミーティングに使用される。

小さなバーも備えていることから、夜には美しい東京の夜景を眺めながら…というオシャレなルームであった。


その特等席に、メイは二人を案内した。

「どうぞこちらへ。すぐにラブは参りますので」

「さすがにテラ。すごいところですね」

小田が、無表情のままつぶやき、東京の海を見下ろす。

(なんて…淋しい瞳なの。)

「うっひゃ~!すっげーな」

おかまいなしに、山城が大声をあげる。

そこへラブ登場。

「遅れてすいません。ようこそ小田さん…と…?」

「うわっ!すっげ~。ホンモノだ」

「当たり前だろ、頼むからおとなしくしててくれ。ネコじゃなかったのか秀」

「いいのよ別に、ラブです。ヨロシクね」

笑顔で手を差し出す。

小田の手を握ったラブの胸が、一瞬締め付けられた。

(何?この感じ…)

すかさず山城が手を奪う。

「は、はじめまして。武《タケ》の親友の山城秀樹というものです。誓って怪しいものじゃありませんです」

「ラブに誓ってどうすんのよ。ハハハ」

(ただのバカね…)

と言うメイは、実は小田のファンであった。

ファッションデザイナー、小田武志。
業界で、最も注目されている存在であった。

「ラブさん。新曲は聞かせてもらいました。デザインをする前に、現地へ行きたいのですが、だめでしょうか?」

「もちろんOKよ。私は…ちょっと今はここを離れられないので…。そうね…メイ、一緒に行って、内容を詰めてきて」

9月に発売予定のアルバム『時空《トキ》の星』。

PV(プロモーションビデオ)の衣装デザインを、小田に依頼したのである。

「わ、私が!?って、どこへ?」

「ナスカよ」

「はぁ?ナ、ナス…か?…どこよそれ?」
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