真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
~大阪・箕面~


「ほう・・・。で、鬼島はんは、誰にも?」

興味深々で話を聞いていた、飛鳥が問う。

「そんな話、誰が信じるものか」

「じゃあ、あの黒龍会本部へ単身乗り込み、1000人の城を打ち破ったという鬼島伝説の主人公は、その女ですかいな」

「さぁな。そんなことができるとは思えないが、伝説とはそんなものだ」

「どうせ誰も信じへんなら、そいつが誰か教えてくれても、かまいまへんやろう」

飛鳥の抜け目のない目に、軽く微笑む鬼島。


「トーイ・ラブ」

さすがに飛鳥の目が、一瞬大きく開く。

「おいおい、今朝から世間を大騒ぎにしているあのラブか?」

「ああ」

「こりゃ、参ったな。そりゃ誰も信じないわな」

「フッ。あんたは信じるだろ。そうでなきゃ困る。俺はその為にここへ来たんだからな」

「なに?・・・どういうことかいな、そりゃあ」

サングラスを外した鬼島の真剣な目に、飛鳥の目が細まる。

「笑うかもしれねぇが、俺は一生、あいつを守ると決めた。だが、どうやら俺も限界らしい。この俺にもしものことがあったら、俺の変わりに、彼女を守ってやってくれ。その代わり、俺の兵隊と関東は、あんたに委ねる。頼む」

鬼島が、深く頭を下げた。


「こりゃたいへんな条件ですなぁ。まぁ、頭あげておくんなはれ」

飛鳥が鬼島の肩をたたく。

「たいした女やな、全く。頭もようきれよるわい。鬼島はん、その想い、確かに受け取りましたわ」

(いやにあっさり・・・)

「・・・かたじけない」

二人は、その目で、熱い契りを交わし合った。


「鬼島はん。中国組織からの情報やが、闇の暗殺リストに彼女の名が載ったそうや」

「何っ?」

「で・・・あのリュウ兄弟が名乗りを上げたとのことや」

闇の暗殺者集団。

その頂点的存在の、超ベテランスナイパーである。

「あの、老いぼれやろうが」

「歳はとっても、千人の大物暗殺を成し遂げ、今なお現役でおる二人や、気ぃ付けなあかんで」

「恩にきるぜ、飛鳥さん」
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