真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
門を出る時、手下の声が耳についた。

「あ~あ、ラブちゃん可哀想やなぁ。オレは絶対あのコの味方やで」

「おまえ、この前握手してもろうてから、虜(とりこ)やな。まぁ・・・無理もないか」

歩みを止め、鬼島が近づく。

「おい、ラブが・・・ここへ来たのか?」


「あっ、鬼島💦」

驚く男。

「は、はい💦 先週、いきなり車で乗りつけて・・・」


中国組織に後押しされ、渋々関東進出を決める会議の席。

関西有数の組が顔をそろえた、その裏側での出来事であった。

飛鳥貞治の前に、ラブが立ちはだかったのである。


「えらい剣幕でしたわ。『鬼島と戦争するってことは、この私と戦うってことや。覚悟できてるやろなっ❗️』ってな調子で・・・。大阪弁ではあらへんけどな」

(ラブのやつ・・・。道理ですんなり手打ちが済んだわけだ。しかし、ラブがどれだけ凄んでも、あの組長が?)

「決定打は、黒龍会会長、山崎の指輪やったわ」

黒龍会が潰された時、発見された山崎は、全ての記憶をなくしていた。

そして、権力の象徴であった人差指の巨大なダイヤリングは、その指ごとなくなっていたのである。

それをつきつけられた飛鳥は、即座にその意味を理解したのであった。

「飛鳥のヤロウ・・・。全て知ってたのか」

さっきまでのやり取りを思い浮かべる。

「なるほど、「たいした女」か・・・。ちっ!やられちまったぜ」


車に乗った鬼島の顔は、思いきり笑っていた。

カーテレビでは、「警視庁、本日中にもラブを確保か?」のテロップが流れ、大騒ぎであった。


(おいおい、ばあさんよ。俺の愛する女は、大丈夫なんだろうなぁ・・・。頼むぜ)

「東京へぶっ飛ばせ❗️」

「はっ!はいっ💦」

ニヤついている鬼島に、あっけにとられていた運転手が、慌ててアクセルを踏み込む。

「ギュルギュルギュルッ!」

「バッカやろう。こんなところで俺を殺すんじゃねぇぞ」

「すっ、すんません💦」


こうして、鬼島の運命は、ラブのもとへと運ばれて行った。
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