真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
それを見透かしたかの様に、店主が語りかけた。
「あなたの様のことを詮索するつもりはありませんが、大変責任の重い、厳しいお仕事の様でございますね。私はお仕事のことは良く分かりませんし、口出しもできません。ただ・・・」
「ただ・・・なんですか?」
鬼島はすでに、この店主に何を隠してもムダである気がしていた。
「あなた様は、大きな大きな愛情を抱いておられる。その想いについて、どうしてもあなた様に伝えたいと思うことがあるのです」
「はぁ・・・。確かに、命よりも大切に想う女がいる。彼女に関係することであれば、ぜひ聞かせてくれ」
しばらくじっと目を閉じる店主。
「命を懸けても?」
「かまわねぇ。とっくに覚悟はできてる」
「そうでございますか。では・・・、西へお行きなさい。残念なことですが、あなた様では、その人を守り抜くことはできません」
「俺では、守れない?」
「はい。確かに、あなた様は、そのお命を懸けて、彼女を守るでしょう。でも、あなた様の命は、一度きりでございます。たった一度だけなのでございますよ」
「それはつまり・・・」
「あなたの運命を語ることはお許しくださいませ。ただ一つ。本当にその人を守りたいのであれば、全てを捨てることが必要でございます。あなた様を待つ人が誰で、何をするべきかも、もうお分かりでしょう。愛する人を守りたいのであれば、そうしなさい」
鬼島は、テーブルに置かれた白い花を見つめながら、しばらく沈黙した。
そして。
「なるほど。花で人の心を見通す・・・か。この花が、俺ってことだな」
「ええ、そうでございます。この花は、ストックといいます。白のストックは、儚い永遠の恋。大きな愛の絆を表す花でございます」
店主が涙をぬぐう。
「永遠の恋・・・とはな。やっぱり実ることはないってわけか。ハハ」
サングラスで涙を隠す。
「礼を言うぜ、ばあさん。おかげで、進む道がハッキリした。想い残すことはねぇ」
その後は、コーヒーを飲みながら、他愛もない話をした。
「世話になったな。そのお孫さん…凛花ちゃんにもヨロシク。じゃあ、ばあさんも元気でな」
そう言って、晴れ晴れとした顔で、鬼島は店を後にしたのであった。
「あなたの様のことを詮索するつもりはありませんが、大変責任の重い、厳しいお仕事の様でございますね。私はお仕事のことは良く分かりませんし、口出しもできません。ただ・・・」
「ただ・・・なんですか?」
鬼島はすでに、この店主に何を隠してもムダである気がしていた。
「あなた様は、大きな大きな愛情を抱いておられる。その想いについて、どうしてもあなた様に伝えたいと思うことがあるのです」
「はぁ・・・。確かに、命よりも大切に想う女がいる。彼女に関係することであれば、ぜひ聞かせてくれ」
しばらくじっと目を閉じる店主。
「命を懸けても?」
「かまわねぇ。とっくに覚悟はできてる」
「そうでございますか。では・・・、西へお行きなさい。残念なことですが、あなた様では、その人を守り抜くことはできません」
「俺では、守れない?」
「はい。確かに、あなた様は、そのお命を懸けて、彼女を守るでしょう。でも、あなた様の命は、一度きりでございます。たった一度だけなのでございますよ」
「それはつまり・・・」
「あなたの運命を語ることはお許しくださいませ。ただ一つ。本当にその人を守りたいのであれば、全てを捨てることが必要でございます。あなた様を待つ人が誰で、何をするべきかも、もうお分かりでしょう。愛する人を守りたいのであれば、そうしなさい」
鬼島は、テーブルに置かれた白い花を見つめながら、しばらく沈黙した。
そして。
「なるほど。花で人の心を見通す・・・か。この花が、俺ってことだな」
「ええ、そうでございます。この花は、ストックといいます。白のストックは、儚い永遠の恋。大きな愛の絆を表す花でございます」
店主が涙をぬぐう。
「永遠の恋・・・とはな。やっぱり実ることはないってわけか。ハハ」
サングラスで涙を隠す。
「礼を言うぜ、ばあさん。おかげで、進む道がハッキリした。想い残すことはねぇ」
その後は、コーヒーを飲みながら、他愛もない話をした。
「世話になったな。そのお孫さん…凛花ちゃんにもヨロシク。じゃあ、ばあさんも元気でな」
そう言って、晴れ晴れとした顔で、鬼島は店を後にしたのであった。