真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
【24】運命
~総合医学研究所~

施設内に設けられたリハビリ用のジムで、ラブは日課となったトレーニングをしていた。

「…96、97、98、99、100」

片腕懸垂を左右100回完了したことろであった。

そばで付き添っているのは、研究員の間宮であった。

「これだけでも、超人ですよ、ラブさん。その細い腕のどこにそんなパワーが?」

「それを研究するのが、あなたの役目でしょ!」

世界中の圧力により、もう今では、ラブの体に針一本刺すことはなかったのである。

「私はね、人間のもつ潜在能力を完全に開放することができるの。火事場のバカヂカラってあるでしょ、それとか、人体発火も本来人間の持っているパワーなのよ」

「確かに、人間は催眠術をかけると、普通じゃ信じられない力や、能力を発揮することもあります。でも、自分でそれを制御できる者はいないですよ」

(ほんとに、なんて素敵な人なんだろぅ。今すぐにでも、ここから連れ出して、守ってあげたい…)

間宮もまた、ラブのファンであり、この境遇を幸せに思っていたのである。



二人がそんな話をしている頃、表にタクシーが1台停まった。

「よっこらしょ。釣りはいらないよ」

手提げバッグを持ったひどく猫背の老人は、太い杖をつきながら、ゆっくり建物へと向かって行った。

そして、ラブの頭脳にアイの通信が入った。

(ラブ様、調子はどう?)

(あら、またまた人間っぽい挨拶ね、アイ)

(・・・💧これでも毎日勉強してるのですから。本日、ラルフ長官がお見えになりました)

(そう・・・。残念だったわ。会って、ジルターンのお礼に、夜の東京を楽しませてあげたかったのに)

(それなら、今、ヴェロニカが案内しております)

(え?…ヴェロニカが外へ?)

今夜は、テラのオーシャンビューレストランで食事をするはずであった。

(まぁ、楽しんでもらえればいっか)

(ところでラブ様。いつまで、そこにいる予定ですか?)

(アイ、そんなに急かさないで。結構ここも住めば都よ。かわいいコもいるしね)

「えっ?誰?」

頭に響いた声に、立ち上がって周りを見回す間宮。

(やば💦彼のほうへ意識向けちゃったじゃん)

笑顔で間宮の方を見たラブの目が、大きく見開かれた。
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