真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
~ロシア ヴァロン遺跡~

ヴェロニカは、テーブルに置かれた携帯から流れるラブの曲、『PEACE OF EARTH』を聴いていた。

一度しか歌われなかった、高音フレーズを聴いて、電話に出る。

「目が覚めたかね」

「パパ・・・。やっぱりパパが・・・ヘブンだったのね⁉️」

テラでの会話の際、ラルフの口から『紋章』の言葉を聞いたヴェロニカは、そのことに気付いた。

アイに気付かれる前に、その真相を確かめるため、わざとテラを離れたのであった。

呆然とするヴェロニカ。



「ヘブンは、この星の自由を取り戻すために、私が作り上げた救世主なんだよ」

要塞の制御ルームから、ラルフ・ヴェノコフが話す。

「救世主?人殺し集団の、どこが救世主なのよ❗️」

いつもの上品で冷静な彼女はいなかった。

「人殺し?確かにな。だが人が殺しあうのは、くだらない人間の文化の中で、大昔から勝手に繰り返していることだ。人間は、自分達がこの星で唯一の存在の様な顔をしている愚かな生き物だ。地球は、そのわがままな人間のために、崩壊の危機へと進んでいるのだよ」

「パパ・・・いいえ、ラルフ長官。あなたもその一人じゃないの!同じ人間でしょ❗️」

「その通り、だからこそ、自らこの星の人類を絶滅させるのだ。自分たちの失敗に今頃気づいた様な顔をして、ラブ・アースなどとほざいているバカな人類に終止符をつける。地球を救う気が本当にあるのならば、我々が消えるしかないのだよ」

「そんな、勝手な・・・。まさか、この遺跡のパワーを使うつもり?」

「この要塞は、私の最も愛するもの。お前と同じくらいにね。お前の研究のおかげで、ここのシステムは、ほぼ理解できた。我々の技術で制御できる様に、多少改良させてもらったよ。あとは、最後の解除信号を待つだけだ」

「解除信号・・・。それは・・・ラブ⁉️」

「その通り。お前はあの『王家の紋章』を見た時に、気づいていたんだろう?お前の研究の成果が、今試されるんだ、学者として喜ばしい事だと思わないか。ヴェロニカ」

「思うわけないっ❗️ふざけないで❗️」

そばで唖然と聞いていた、カイザル博士の肩をつかむ。

「博士、ラブに知らせなきゃ!ラブを止めなきゃ、あいつが目覚めてしまう⁉️」
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