真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
そのあと一週間ほどは、政府との交渉や、学校の巡回で、ラブは忙しい毎日を過ごした。

ララのことが気になり、時々家に行ったが、もういつもの笑顔のララであった。

地元記者のインタビューを受けていた時、サバからの電話がラブの冷静さを吹き飛ばした。


「ラブ! ララが…ララが…」

それ以上は聞かなかった。
記者の叫ぶ声を無視し、車に飛び乗るラブ。


「ララッ! 私がそばにいながら…くっっそぉー❗️」

やりきれない思いは、車を弾丸に変えていた…。



~診療所~

ララは仕事着のまま、ベッドで眠っていた。


「死者の枕元に靴を置く」

この辺りの風習が成されてないのを見て、ラブは大きく息をついた。


「ララがこれを持って来て、兄の病院へ連れて行ってくれと…。かなり興奮していて、そのあと気を失ったんだが、命に別状はないようだ」

サバに渡された袋には札束が入っており、ざっと10万ドルはあった。

この国の庶民が一生働いても稼げる額ではない。


「ラブ? ラブいるの?」

気が付いたララが呼んだ。ラブはララの手を握った。

「ビックリさせないでよララ。無事で良かったわ」

そう言いながらも、お金の事を考えていた。
ララが、人様のものを盗むわけは無い。

「ラブ、あのお金で、お兄ちゃんを助けて。手術をして」

ララには、この大金がどれだけのもので、足りるのかどうかも分かるはずがなかった。


「ラブ、お兄ちゃんを助けて。お願い。助けて。…お金…足りない?。あれじゃまだ足りないの?」


起き上がったララの顔から、仕事で顔を隠す為に巻いている布が、ハラリと床に落ちた。

「…ぇっ!ララ!その目…その目はどうしたの⁉️」


あるはずのララの右目は、そこには…無かった。


「な、なんてことを…あの野郎!ララの目を、ララの❗️」

布で隠していた為と、倒れたララと大金に驚き、気付いていなかったサバ達。

「お兄ちゃんが助かるなら、目なんかいらない。ラブ、片方あれば十分だから、心配しないで。それより、お願い。お兄ちゃんを助けて」


ラブに笑顔を見せながら、ララは毎晩、兄を助ける方法を、一生懸命に考えていたのである。

決して諦めずに…。

ラブは、医師に諦めるなと言った自分が許せ無かった。

悔しくて悔しくてたまらなかった。

「ララ…ごめんなさい」

ラブは診療所の床に手をつき、額を床に打ち付けた。
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