真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
飛鳥に連れられて、バスを降りるラブとT2。

後ろの車から、黒服の男が現れる。

「中のジジィ。手足の筋切って、縛りあげとけ」

「殺してないの?千人以上殺した暗殺者よ」

飛鳥が撃ったのは麻酔銃であった。

「ああ、俺は滅多なことでは人殺しはしない性質《たち》なんだ。オヤジとは違ってな」

「神《じん》。ヨロシクね」

笑顔で手を差し出すラブ。

「おっ・・・おう」

神と呼ばれたことと、ラブの笑顔に、少し照れる。

二人は固い握手をかわし、車に乗り込んだ。

「おっと、忘れるところだったぜ」

飛鳥が鞄から封筒を取り出し、ラブに渡す。


「鬼島の葬儀に、変な婆さんがやってきてな、これをあんたに渡してくれってよ」


中身を取り出す。

色紙に、真っ白な花『ストック』の押し花が貼り付けてあった。

添えられた手紙を読む。


『私は偶然にも、あなた様を心から愛し慕う殿方に出会いました。これは、その方の『心の花』でございます。あなた様を想う気持ちのこもった清らかな花でございます。どうか、大切にしてやってくださいませ。それでこそ、あの方も、あなた様のお心も、安らかになろうかと思います。
     ~花屋より~』


「鬼島・・・さん」

その花に、下手くそに笑う、鬼島の顔が浮かんだ。

しんみりとした雰囲気の嫌いな飛鳥が、大声を出す。

「さぁって!高知かぁ・・・。高知と言やぁ、坂本竜馬や。ラブ、竜馬記念館の場所知らねぇか?」


「ハハ。待って、アイに聞いてみるわ。でもさぁ・・・この車で行くの?」


「・・・やっぱ・・・ちょっとムリか?バカやろう!だ~から言っただろうが」

運転手にボヤく飛鳥。

もっとも、天下の大スター、ラブを迎えに行くとなって、張り切ってリムジンを選んだのは、彼自信であった。


(アイ、ナビ付きのレンタカー手配して)

(了解。そう言えば、来年の話ですが、警視庁150周年テーマソングの依頼が、鷲崎首相からありました)

(そう。現警視総監と鷲崎さんは旧友の仲だったもんね。きっと警護も兼ねてってことね)


「分かったわ」

「はぁ?何のこった?」

突然のラブの了解に、驚く飛鳥。

「あ、いえ。何でもないわ。アハハハ」

スーパーアイドルでも、笑ってごまかすのである。
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