真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
【4】代償
~現在~

ステルスがサラエボ政府軍の空港へ着いた。

東京を経ってからのラブは、飛行中ずっとララとの記憶をたどっていた。

そして、悔やんでも悔やみきれない自分の失敗を責めた。


「ようこそラブ様。町までは軍が護衛します」

サラエボは、反政府軍に目をつけたテロ組織HEAVENが、彼等に大量な武器を流したことから、再び泥沼の内戦状態に陥っていた。


1時間程で町の葬儀場に着いた。

目の赤いサバが出迎える。
互いに無言のまま。


ララは祭壇に横たわっていた。


恐る恐る見た枕元には、あのホテルで履き替えた靴が揃えられていた。

ララの横には、回復したロブが立っている。

「ララ…。あなたまだ12歳だよ…。なんで死ななきゃならない?…早すぎるよ…ララ」

ララの静かな寝顔を見つめるラブ。

「お願いだから笑ってよ。泣き虫な私を笑ってしかってよ…」

涙が止まらなかった。


昨夜突然、診療所にララの遺体が届けられた。

ララの体からは、残っていた左目、心臓、腎臓、あらゆる臓器が取り除かれ、その傷口は乱暴に縫い合わされていたという。


1年前、兄の為に売ったララの右目。

片目を失った孫を持つ権力者が店に寄った際、同じ色をしたララの目に気付き、店主に交渉したのであった。

兄の事を知ったララは、今までに増して一生懸命に働いていた。

その理由を聞いた店主は、一生働いてもそんな大金は無理だと告げ。

そこから、交渉が始まり、成立したのであった。

ラブ達が気付かなかったのは、その交渉の全貌であった。

子供相手の片目のビジネスに、10万ドルは高すぎた。

あの時ララは、時期が来たら、全ての臓器を提供する約束をしていたのであった。

闇のオークションで、「買い手」が現れ、ララは、その約束を守ったのである。

誰にも言わず、いつ訪れるか分からない死の連絡に怯えながら、毎日を不自由な片目で必死に生きていた。

そんなララの姿が想い浮かび、ラブはララにすがって泣き続けた。


そのラブの肩を、そっとロブが抱き締めた。


「ロブ、ごめんなさい。私が早く気が付いてさえいれば…ララは…。ごめ……」

ロブの指がラブの唇を押さえた。


「今度、謝ったら、友だちやめるよ」


「えっ?…ララ?」
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