真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜

~サラエボ空港~

昨日迎えてくれた彼がいた。

「あら、ご苦労様」

ステルスに乗り込むラブに声をかける。


「お気をつけて。《《トーイ》》様」


その彼の言葉が、少し引っ掛かった。

飛び立った10分後。
ラブは、その意味を知ったのである。


胸に掛けたペンダントを眺めていたラブに、彼女にしては珍しい『隙』が生まれていた。

海面ギリギリを追尾してくる機体に気が付いた時は、もうその機は戦闘体制にあった。


(『ラブ』じゃなくて、『トーイ』に変わったってことね。)

見送った彼の顔が想い浮かんだ。

「ちょっとヤバいんじゃない?ステルスちゃん💦」

回避に移ろうとした時、

「ラブ!右へ❗️」

その声に瞬時に反応するラブ。
機体を90度傾けた。

上昇してくる機を、上空から急降下してくる機の照準が捉え、すかさずミサイルが発射される。

ミサイルは、ラブの機をギリギリすり抜け、戦闘機を粉砕した。


「大丈夫ですか?ラブ様…あ、いや…ラブ」

「あなたのミサイルの方が危なかったわよ💧な~んてね。Thank You~ロビンちゃん。でもどうして?」

「やっぱり心配で…迎えにきたんです」

基地に帰ったロビンは、髭のアボット隊長に、「ラブを一人で行かせるバカがいるか!!」
と、こっぴどく怒られたのであった。


『髭が笑ったんだ』と、ラブは思った。


「命の恩人ね! 帰ったら一杯おごるわ。飲みに行こ。…でも1つだけ約束ね。例え酔っても、絶対に「トーイ様」って呼ばないで。呼んだら撃ち殺すわよ」

「えっ?そんなぁ・・・💦」


その時、ラブの意識にアイが割り込んだ。

(ラブ様、お楽しみのところ悪いけど、メイがお待ちかねです。あと鬼島組長がラブラブコールしてきました)


「アイ! 少しはプライバシーってものをねぇ…」

思わず声にしてつぶやいたラブ。

「はぁ?…ラブ、誰と話してるんですか?」

「ロビンはちょっと黙ってて❗️」



大海原の空で、そんな光景を繰り広げている頃。

ラブの持つ東京のビル TERRA(テラ)の屋上に、ティークが乗ったヘリが到着した。

降り立った黒いコートを、雪交じりの風が払う。


「アラスカよりはマシか」

つぶやいたその瞳は、これから始まるものへの不安へ向けられていた。


〜エピソード1・戦場の少女〜 完
< 24 / 188 >

この作品をシェア

pagetop