真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
~サラエボ空港~
昨日迎えてくれた彼がいた。
「あら、ご苦労様」
ステルスに乗り込むラブに声をかける。
「お気をつけて。《《トーイ》》様」
その彼の言葉が、少し引っ掛かった。
飛び立った10分後。
ラブは、その意味を知ったのである。
胸に掛けたペンダントを眺めていたラブに、彼女にしては珍しい『隙』が生まれていた。
海面ギリギリを追尾してくる機体に気が付いた時は、もうその機は戦闘体制にあった。
(『ラブ』じゃなくて、『トーイ』に変わったってことね。)
見送った彼の顔が想い浮かんだ。
「ちょっとヤバいんじゃない?ステルスちゃん💦」
回避に移ろうとした時、
「ラブ!右へ❗️」
その声に瞬時に反応するラブ。
機体を90度傾けた。
上昇してくる機を、上空から急降下してくる機の照準が捉え、すかさずミサイルが発射される。
ミサイルは、ラブの機をギリギリすり抜け、戦闘機を粉砕した。
「大丈夫ですか?ラブ様…あ、いや…ラブ」
「あなたのミサイルの方が危なかったわよ💧な~んてね。Thank You~ロビンちゃん。でもどうして?」
「やっぱり心配で…迎えにきたんです」
基地に帰ったロビンは、髭のアボット隊長に、「ラブを一人で行かせるバカがいるか!!」
と、こっぴどく怒られたのであった。
『髭が笑ったんだ』と、ラブは思った。
「命の恩人ね! 帰ったら一杯おごるわ。飲みに行こ。…でも1つだけ約束ね。例え酔っても、絶対に「トーイ様」って呼ばないで。呼んだら撃ち殺すわよ」
「えっ?そんなぁ・・・💦」
その時、ラブの意識にアイが割り込んだ。
(ラブ様、お楽しみのところ悪いけど、メイがお待ちかねです。あと鬼島組長がラブラブコールしてきました)
「アイ! 少しはプライバシーってものをねぇ…」
思わず声にしてつぶやいたラブ。
「はぁ?…ラブ、誰と話してるんですか?」
「ロビンはちょっと黙ってて❗️」
大海原の空で、そんな光景を繰り広げている頃。
ラブの持つ東京のビル TERRAの屋上に、ティークが乗ったヘリが到着した。
降り立った黒いコートを、雪交じりの風が払う。
「アラスカよりはマシか」
つぶやいたその瞳は、これから始まるものへの不安へ向けられていた。
〜エピソード1・戦場の少女〜 完