真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
【8】臨時国会
~国会議事堂~

国会内は激しくもめていた。

その状況は、テレビで生放送されており、先ほどの「世界の顔」に引き続き、高い視聴率となっていた。


「これはロシアの問題だ。我が国の自衛隊を危険にさらすことはない!」

国防省の大崎大臣である。

もともと得体の知れない施設を、近海に設置することでさえ、彼は反対していた。

その脇で、自衛隊総本部長、松阪は苛立ちを隠せないでいた。

「予算的に見ても、防衛費は削減を余儀なくされており、危険なリスクを負ってまで、出費することは避けるべきだ」

国民党の橋田党首である。

彼は国の経理大臣も併任していた。

「しかし、ロシアからは救援の要請が来ているのは事実だ。彼らの主力は、今訓練のため遥か遠方にいる。嵐の中、救助に向かえるのはほんの僅かとのこと」

首相の鷲崎であった。

彼は就任以前から、ラブと親しかった。
就任の前夜、ラブに、

「私は、正しい道にこの国を導けるかは分からない。だが、私を支持してくれる国民がいる限り、私は私の信念を信じ、貫いて行こうと思う。力を貸して欲しい」

と胸の内を打ち明けた。

「鷲崎さん。あなたが国民から支持されているのは、その愛情の深さと、実行力です。あなたがやると言うなら、私はあなたに、この命を委ねてもかまいません」

とラブは応えたのであった。


~国会~

「あんたは、いつも弱きを助ける姿勢だが、彼らが我が国の要求に頷いたことがあるかね?情に流された子供染みた判断では、この国は守れん!」

社会新党の染山党首である。

彼は、北海道の出であり、未だに北方領土問題を引きずっていた。

視聴者が見守る中、国会は、いつもの対立ばかりで、どうにも収集がつかない状況であった。
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