真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
「そんなに待つ時間はありません。あと12時間以内に、全ての施設が破壊されます」

所長とて、ラブのことは信用してはいた。
しかし、止められないことも事実であった。

「所長、遮断するとしたら、猶予はどれぐらいですか?」

「今は、ただでさえ、不安定な状態にある。恐らく、再起動の時間を考慮して、10分が限度だ。それでも、かなりの危険性を孕んでいる」

「10分・・・か。分かりました。お願いします。それで何とかやってみます」

「それしか、方法がないのだね?」

所長は、ラブの目を見据えた。

「はい。まずは、アラスカから運んだ、例の《《もの》》のところへ、その後、全回線を遮断してください」



~地下50メートル~

厳重にロックされたドアが開いた。

ラブの目の前に、直径3メートル程の球体が現れた。

(ラブ、注意して!何かがいます。)

アイの警告が響いた。

(アイ、今はっきり分かったわ。サヴァージ星は無人の惑星。その星に生物はいなかった。その星を動かしていたのは、実体のない、エネルギー生命体よ。昔、導師から聞いたことがある。体を持たない生命。メカの動力にもなって、自在に操り、時空をも超える。まるで幽霊ね。この物体は、無人ではあるけれど、生命体はこの中にいる!)

「所長、全員を外に出して、ドアを閉めてください。閉まり終わったら、全回線を遮断して。早く❗️」

ラブの尋常でない様子に、所長は慌てて、指示を出した。

全員が退去し、ドアが閉まる。そして・・・全回線が強制遮断された。


ラブの顔が苦痛にゆがむ。

何者かが、ラブの意識に入り込もうとしていた。

ラブは、球体に近づいて行った。

それを阻むかの様に、強烈なエネルギー波がラブの体を襲う。

身に着けていた物が、全て千切れ飛ぶ。

頬や肩、太ももの皮膚が剥がれ、鮮血が飛び散った。

「グッ!・・・」

(なんてパワーなの…)

体中の骨がきしむ。

それでも、ラブは、前へ進んだ。

(やめろ!なぜ…、なぜ地球へ来た。なぜこんなことをする。)

ラブの右手が球体に触れた。

その瞬間、ラブの意識の中に、別のものが入ってきた。
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