真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
…静寂。

暫くして、真っ暗な部屋に補助の照明が点り、破壊された部屋が現れた。

ラブの額の紋章はもう消えており、折れた右手を左手で抱え、傷だらけになりながらも、彼女は立っていた。

球体は、原型を留めていなかったが、かろうじて、まだそこに「いた」。

(お、お前は、帝国の継承者・・・なのか?生きていたのか。何ということだ。)

生命体のパワーも限界を迎えていた。

(私は、サヴァージ星のエネルギー生命体ジーグ。我々は、帝国に密使として遣え、タイムホールを利用してあらゆる星の未来を予測した。そうやって宇宙の危機を救うのが任務であった。地球は、大銀河系の未来の鍵となる重要な惑星の一つなのだ。愚かな人類は、そのエネルギーの源をも奪い取ろうとした。このままでは、この星は崩壊してしまう。)

意識を失いそうなラブであったが、全身の痛みが、それを拒んでいた。

「わ、私は、大銀河帝国、12代王位継承者、トーイ・イルザ・ラブレシア。帝国最終戦争の際に、導師達の「力」で、二人の友と共にこの星に送られた。ここを守る約束をして…」

(ラブレシア様。私に、この任務を命じたのは、あなたのお父上です。あなたは、星間戦争で命を落とされたと・・・。まさか、生きてこの星におられたとは。)

「王が・・・」

ラブは予想もしていなかったことに、混乱した。

(私は、父上と戦っていたのか…)

そんなことよりもラブは、自分の愛するものを、王が消そうとしたことの方がショックであった。

しかし、目をしっかり開いて、ジーグに言った。

「…ちがう。それは違う!王は、星に生きる命を消してまで、この星を守ったりは絶対にしない!生きる命があってこそ、この星は生きているんだ。それを奪う権利は、この星にしかない❗️お前のやり方は間違っている❗️」

(仰せの通りに。あなた様の言葉は、王の言葉。私がお慕いするもの。この星の運命、お任せいたします。私の使命は、これで・・・お会い出来て良かった。あなたに愛されるこの星の者達は、幸せでございます)

生命体のエネルギーが急速に衰えていくのが分かった。

(最後に…この星には……危険な…が…気をつけ………)

遥かなる使者の最期であった。

何かを伝えたかった様であったが、その力はもう無かった。


(孤独で大変な道程であったことでしょう。もうゆっくりお休み。この星は、命を賭けて、私が守ります)
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