真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
~東京~

首都高速を成田空港へと飛ばすラブ。

「アイ・・・なぜ美樹ちゃんが・・・。あの子は幸せになっちゃいけないのかな…」

涙が溢れてくる。
沈黙するアイ。

「地球《ここ》の人たちは、あんなに神を慕っているのに、神はどこにいるの? ただ、見ているだけなの? アイ、あなたは何でも知ってるんでしょ。お願いだから、教えて・・・」

「ラブ様・・・神の存在は私にも分かりません。でも、幸せになってはいけない人など、この世にはいません」

「じゃあ、なぜあの子が死ななきゃならない? なんにも悪いことしていないのに。どんなに・・・どんなに私が頑張っても、小さな命一つ救ってあげられないなんて・・・」

涙が視界をさえぎる。

「アイ、ちょっと運転代わって・・・」

「ラブ様…、そんなに自分を責めないで下さい。あなたは、十分に人々を救っています。私もあなたから、「愛」というものを、ずいぶん教えてもらいました。少し、落ち着きましょう」

流れる涙はそのままに、目を閉じた。

数分後、極秘回線の着信が鳴った。

(今は・・・出たくない・・・そっとしといて・・・)

アイが出る。

「ラブ、スタンリィ長官からです。後にしますか?」

「・・・つないで」

EARTH《アース》の長官、ベルベット・スタンリィである。

「ベル、私です」

「トーイ、送ってくれた写真に映っていたもう一人が、サテライトレーダに補足された」

「そうですか、サラエボにいるティークへ、データを送ってください。どこの居住区なの?」

ヘブンに関係する人物の写真。

それは、戦場カメラマン奥田が、命を賭けて映したものである。

ラブは、奥田のフィアンセであったアナウンサーの山本から、その写真を受け取った。

写真から、細かな人物の特徴をデータ化し、監視衛星で全世界の人物データと照合していたのである。

「それなんだが、やつの居場所は、サラエボではなく、ロシアだ」

「ロシア?もしかして、ジルターン?」

「当たりだ。ロシアの北部にある小さな町、あのジルターンだよ」

3年前の悔しい記憶がよみがえる。
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