真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
ラブ達の心配をよそに、イベントは順調に進み、いよいよラブの舞台が迫る。

舞台裏へと向かうラブに、男が話しかけてきた。

「ラブさん。初めまして。NASAで宇宙開発部門に携わっております、ミズリーです。いやぁ、テレビでは拝見しておりましたが、実物はそれ以上に美しい」

「ああ、バーン・・・あっ、いや・・・大統領から聞いています。この度は、子供たちのために、宇宙からの贈り物をありがとうございます」

「いえ、私も子供の時は、宇宙飛行士に憧れたものでした。子供には、大きな夢を持っていてほしいですからね。NASAで役に立つことであれば、喜んで」

時間が押してきたラブが、壁の時計に目をやる。

「あっ、ステージでしたね。お引止めしてごめんなさい。あの、良かったら、ラブさんにも、一つあげましょう。どうぞ」

ラブは少佐から小さな布の袋を受け取った。

「ほんとに!貴重なものを、ありがとう。では、少佐も最後まで楽しんで行ってくださいね~」

「はい、楽しませてもらいます。あなたしか出せない、あの最後の高音は、心に響きます」

「ハハ、そんなに褒められたら、逆に歌いにくくなっちゃうわ。では」

ラブが走っていく。

(最後の高音・・・か)

走りながら、3月の記憶が、脳裏によみがえるラブであった。
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