真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
ステージでは、ラブの最後のスピーチが、終わろうとしていた。

「では、この歌を、あなたたちと、世界中の夢見る子供達、そして、ミカエル・シャーン氏に捧げます。聴いてください。『PEACE OF EARTH』」

シーンとした場内に、時を越えた古代の音色が響き、目を閉じたまま、ラブが歌い始める。




~テラの地下基地~

一番奥にある実験室の中央に、デビル・ストーンを小さく砕いたカケラが置かれている。

「アイ、ミュージックスタート!」

「PEACE OF EARTH」 が流れ始める。

音のデータを分析する機械が、すぐに異常な反応を始める。

「この石・・・自分から特殊な波長を出してますわ」

石の表面が、怪しくも美しい光を放つ。

「アイ、爆発があった時に、シーラがお聴きになっていたところを流してください」

「はい。確か、最後のフレーズです。流します」

歌の最後にある、最高音域のフレーズであった。

計器類がけたたましく反応する。

「ズドーンッ💥❗️」

次の瞬間、特殊強化ガラスの向うで、「黒い悪魔」が爆発した。

「なんてこと・・・。あんな僅かなカケラでも、こんな爆発を…。アイ、メイにつないで❗️」

その頃、集中管理室はパニック状態であった。

音響設備を除き、ステージを監視する、あらゆる機器が、異常な動作をしていた。

「メイ!すぐに演奏を中止させて❗️ラブに連絡をとって❗️このままでは、最後のフレーズで、大爆発が起こりますわ❗️」

「ムリよ、放送中よ! 割り込めないし、ドアも、なにもかも制御不能なの!なによこれ⁉️」

「アイ、テレパシー通信でラブに!・・・ア、アイ・・・?」

モニターに映ったアイの擬体が苦痛でゆがむ。


「ラブッ!ラブったら❗️歌っちゃダメ❗️歌を止めて! みんな死んじゃうよ⁉️くっそー!」

「ガンッ!」

強化ガラスへ椅子を投げつけるメイ。

が、びくともしない。

ラブが、最後のフレーズに入る。



~お台場にかかる橋の上~

停まった車に、ミズリー少佐がいた。

「さらばだ、トーイ・ラブ」


音階が、徐々に上がっていく。

ラブの声が、それにシンクロしながら伸びる。

「ラブーーーッ⁉️」

メイが目を閉じて、しゃがみ込んだ。

(・・・・・・・)

(・・・・・・・)

(・・・・・・・)


演奏が・・・終わった。


「ウォォォォオー❗️」

場内を大きな拍手と、歓声が包み込む。

ステージでは、ラブが笑顔で手を振り、その声援に応えていた。
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