真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
ゆっくりと、メイが起き上がる。
ステージでは、アンコールの嵐が吹き荒れている。

少しして、ヴェロニカも上がって来た。

「なんで・・・?なんで爆発しなかったの?」

あっけにとられた様な顔でメイがつぶやく。
部屋の音声に、ラブの声が入った。

「みんな無事ね」

「ラ、ラブ・・・何をしたの?」

メイの問いに、ヴェロニカがつぶやく。

「最後の音階を、外したのでございますね」

「失礼な! 外したのじゃなくて、変えたのよ。ミカエルには悪いけど、ステージが開く前に、バンドのみんなにお願いしといたの」

「では、歌う前から、ラブは分かっていたの?」

「だいたいはね。だって少佐が、最後の高音がイイって言うんだもの」

「なるほど・・・勝ち誇ったが故の、大きなミスでございますね」

「そういうこと! おっかしいわよね、まだ一度しか歌ってない歌を、少佐が知っているわけないんだもの」



~橋の上~

「どうなっている?なぜ爆発しないんだ?…クソっ⁉️」

車に乗り、携帯を取り出す。

「失敗だ、このまま本部へ帰るわけにはいかない。最後の手段だ、行け❗️」

橋の向こう側から、複数の車が現れ、お台場へと入って来る。

中には、武装した外国人たちが乗り込んでいた。

万一のために、待機していたHEAVENのメンバーである。

その一団が、橋を渡り切った時である。

町のあちこちから、真っ黒い車の集団が現れた。

その数は、ざっと三百。

先頭の車が数台、ヘブンの車の列に突っ込み、あっと言う間に、取り囲んだ。

ベンツから、のっそりと鬼島が降り立つ。

「残念だったな。これ以上、ラブの邪魔はさせねぇ」

500丁を越える銃に狙われては、いかにHEAVENと言えど、抵抗する術《すべ》はなかった。
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