彷徨いエトワール
「気がついたら大人になってそうだから、この曖昧な瞬間を楽しめばいいんじゃない」
生き急いでいた。周りの子がもう進路を決めて自分の夢に真っ直ぐで一生懸命で。特別な夢も特技もない私は、何者かにならなければいけないと思っていた。
不確かな境界線。今はその掴めない感覚が長くて怖くて退屈を感じるかもしれないけど、人生のなかで見ればきっとそれは一瞬で輝いてみえる。
「どう? 悩みは解決した?」
「んー、七十パーセントくらい?」
「なんだそれ」
ふはっ、とあどけない笑みをみせるセナはやっぱり子どもだ。その笑顔を見てつられて笑ってしまう私もまた子どもだ。
時には子ども扱いをされ、時には大人扱いされる。
見つからなかった。わたしを安心させてくれるような聞きたい答えは聞けなかった。でも、仄かに光るいくつかの星を見て私はあの中のどれかかもしれない、そう思えた。
大人って何なのだろうか。それが分かったときにはきっともう、私たちは大人なんだと思う。