こんな溺愛,ありですか?
「しーちゃんって何?」



高い位置から聞こえる不機嫌そうな声。

私は気にせずスタスタと辰馬くんを引っ張る。



「なっちゃんが付けてくれたあだ名だよ。山宮くんも気に入ったみたいで」



説明すると,辰馬くんはさらに不機嫌になった。



「めんどくせぇな……チックソガキが」

「もう,なんなの!? はぁ。めんどくさいのはどっちなんだか」



子供っぽいのも,辰馬くんの方だ。

それより早く運ばなくちゃ。



「はぁ。辰馬くん,たかがノートと侮っちゃダメだよこれ。階段はあるわ地味に遠いわ」



重量も結構ある。

クラスメート全員分だと思えばそれも仕方ない。



「わぁってるからお前に頼んでんだろうが」



ひどい。

まぁ知ってるけど。



「じゃあね,また明日」

「あぁ」

「……なんでついてくるの?」
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