こんな溺愛,ありですか?
山宮side

はぁ,だる。

誰もいなくなった教室で1人,夕日を眺める。

そして,しーちゃんを思い出した。

あの夕日みたいに,すぐに顔を赤くする変な子。

しーちゃんが持っていったノートを思い出して,引き出しからだす。

今日の提出は,本気をだすまでもなく一瞬で終わる課題。

俺はさっと問題を解いてノートに書くと,ゆっくりと立ち上がった。

こんな簡単な問題,わざわざノートに写す意味がわからない。

ふぁっとあくびをしながら教室を後にする。

たまには出してもいいかな。

そんなことを思いながら,俺はおそらく2人が向かった職員室に足を向けた。



「お前……」 「しーちゃん」

「あ」



担任がしーちゃんに何か言おうとしたのと同時に,俺はしーちゃんに声をかけた。

一瞬見えたしーちゃんの耳がほんのり赤かったのが気に入らない。
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