こんな溺愛,ありですか?
「ノート?」
しーちゃんはきょとんと俺を見て,その顔が通常通りなのも気に入らない。
「うん。はい,雑用?」
知ってるけど。
「そう。これ運ぶだけなんだけど」
見たら分かるそれは,何度も抱え直され,少し疲れているのではないかと思った。
「手伝う」
気づけばそんなことを言っている。
まぁ,しーちゃんになら時間取られてもいっか。
そうしーちゃんに視線をもう一度向けたとき。
「必要ない。大したもの持たせてねぇからな。お前はさっさと帰って寝てろ」
相変わらず態度の悪い担任が,俺らの間に入ってくる。
必要かそうじゃないか決めるのはあんたじゃない。
それに,手伝いは何人いても良いでしょ。
直感した何かの答えが見えそうになって,俺が眉を寄せたとき。
しーちゃんが若干の斜め後ろから,担任のふくらはぎをゴッと蹴り飛ばした。