こんな溺愛,ありですか?
「いてっ」

「あっ」



担任は一瞬顔を歪めて,しーちゃんは俺を見て顔を青くする。

そして,視線をあちこちに泳がせ,目に見えておろおろした。

担任を蹴飛ばしたのは俺のため?

俺はそんなところを

可愛い。

そう思う。



「…じゃあ待ってるから,一緒帰ろ」



それなら邪魔されないだろうと提案すると,しーちゃんは驚く。



「えっ」



そして,心底不思議そうに俺を見た。



「なんで?」

「しーちゃん,嫌?」



こういったらしーちゃんは断れないだろうなと思いながら,俺は口に出す。

ずるいとか,どうでも良い。



「そういう訳じゃ」



やっぱりしーちゃんは否定して,どう見てもただ戸惑っているだけのしーちゃんに,俺も安心した。



「じゃあ良いでしょ? たまたま残ってたんだから」



最後の一押し。

そんな意味合いで,言葉を向ける。

たまたまなんて嘘。
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