こんな溺愛,ありですか?
「静香ー! 佐藤 静香!」

「はいはーい。ちゃんといますよー」



私を呼ぶいつもの声に,私も棒読みで返す。



「ごめんね,山宮くん。すぐ終わると思うけど……」

「手伝う」

「ううん,大丈夫。前のところで待ってて? 手伝いなんていつも大した物じゃないし,多分先生も暇を潰したいだけだから」



さすがに気づく。

雑用なんて毎日毎日発生するものでもない。

中には窓閉め手伝えなんてものもあって,この人めんどくさくて暇なのが嫌なのではと気づいていた。

その上で,いい大人がと思いながらも手伝っていたのだ。

でもそれで山宮くんを待たせるのはどうなのか。

なっちゃんの誘いも断ってしまったし。

はて? と頭のなかにクエスチョンマーク。

今までは1人だったけど……これからは断ろうか。

そもそも私の仕事ではない。
< 32 / 96 >

この作品をシェア

pagetop