こんな溺愛,ありですか?
「……あっ,そ」



どこか不機嫌そうな声。



「それでも,手伝うのはなんで」



大した事じゃないと分かっていながら待たされるのが嫌なのかもしれない。



「うーん。そう聞かれると分からないけど,2人でやった方が早いのは本当だし」



なんだかんだ身内である辰馬くんが好きなのもある。

一緒にいるのは普通に楽しいし,安心する。

だから今さら止められないと言うか。



「ふーん。じゃ,待ってるから。ちゃんと俺の所に来てね」

「もちろん。最速で終わらせるよ!」

「うん。そうして」



突然の笑顔。

あどけなくて,きゅんとした。

いけない,きゅんとか良くない。

今の私達は曖昧だけど,強いていうなら友達。

友達にきゅんとかない。

いや,嘘。あったけど,こういうのじゃなかったはずだ。

でも,やっぱり見た目も,中身も,山宮くんが格好いいのが悪い。

やっぱり私には刺激が強すぎて,猛毒。

やめられなくなるほど甘くて,こちらを魅了し引きずり込もうとする,たちの悪い毒。
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