こんな溺愛,ありですか?
「おかえり」

「た,ただいま?」

「なんで疑問系?」

「だって」



柔らかい微笑みを向けられて,私は気恥ずかしくなる。

ただいまとか,ちょっとテレるよね,普通だよね。



「ま,いっか」



そんな山宮くんに手を引かれて,学校を後にした。

手……

指摘できないのはなんでだろう。

恥ずかしいからか,嫌じゃないからか,それとも……



「しーちゃん?」

「あっ……なんでもない」



ぼーっとしていたなんて,失礼だ。

山宮くんはふっと視線を移して,何かに固定する。



「しーちゃん,それなに?」



それは,もう冷たくなっているタオル。



「あぁこれ,今日手伝いじゃなくて,先生に渡されたんだよ。みて? ここ」



私は赤くなった箇所を見せた。
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