こんな溺愛,ありですか?
「先生がいうにはハエに刺されたらしくて,温めて血流良くすると良いらしい」

「ハエ……ね」

「なんともなくて気づかなかったんだけど……あとで痛くなったりしたらどうしよう」



突然不安が押し寄せる。

良く分からないものは,やっぱり怖い。

霊的なものは大丈夫なのに,こういう時すぐに怯えてしまう。



「……大丈夫だよ。痛くはならないから。それに温めるとか昔の人が言ってるだけで効かないし,やんなくていい…どうせ1週間くらいで消える」

「そうなの?」

「うん。そう」



山宮くんは物知りだ。

それに昔の人って……辰馬くんディスられてるよ。

プッと笑う。



「そういえば,山宮くんも徒歩だよね。家どの辺?」

「駅前のパン屋」

「えっ私あそこの常連だよ! 真知(まち)さんがお母さんだったりする!?」

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