こんな溺愛,ありですか?
あそこのパンは本当に美味しい。

種類もたくさんあって,初めて匂いにつられて入った日,すごく感動したんだ。

真知さんともよくお話しして,やさしくて大好きで憧れの人。

ふくよかで綺麗で,笑うとエクボができる。



「息子さんがいるのは聞いてたけど,あったことないし全然知らなかった!」

「俺いつも裏から入ってるし……良くくるの?」

「うん。学校帰りに」

「……俺も手伝いしよっかな」



ボソッと呟かれた言葉。

お手伝い?



「会計とか,前はちょくちょくやってたし,小遣い増えるし」

「山宮くんが? じゃあ私も近いうち行こっかな」



私が言うと,山宮くんが驚いた顔をする。



「俺がいるから?」

「うん。山宮くんにお会計してもらうなんて楽しみ! 外の子が知ったら学校中の女の子がくるよ。宣伝しとこっか?」



そしたらあの美味しいパンたちもたくさん売れるし,山宮くんがレジ辞めちゃってもお客さんがたくさん増えるよね。
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