こんな溺愛,ありですか?
「ねぇ,おはよって言ってるんだけど」



山宮くんは,茫然とする私の頬を,ふにふにと人差し指でつつく。



「おっ,おはよ?」



私は顔を背けて,ぎゅっと目をつむった。



「なんか顔,赤くない?」

「そんな,ことは」



ある。

だって,仕方ないじゃん。

今まで軽口たたいたり,ちょっと叩いたり蹴ったりできる男子の友達は,私にもたくさんいた。

でもこんな風に距離が近いのは,なんて言うか,困る。




「でも,耳も熱いよ?」



眉を下げる私の耳を,山宮くんはきゅっとつまんだ。

私は思わず目を全開にして,驚きの声をあげる。



「ちょっ,離れ…っ」

「あー!! 山宮くんが起きてる!」



タイミング良く登校してきた,花沢さん。

パタパタと駆け寄ってくる彼女と,ゆっくり私から離れる山宮くん。
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