こんな溺愛,ありですか?
ーホッ

た,助かった。

私が視線を落とすと,何故か足音が私の前で止まった。



「佐藤さん! すごい! ありがとう!!」

「え?」



花沢さんは私の肩に手を置いて,きらきらとした目を私に向ける。



「山宮くんが起きてるなんてレアだよ! 今日は良い1日になりそう! そういえば話したことなかったよね,私は夏海,よろしくね」



嬉しそうに笑う花沢さんは,女の子として完璧に見えた。

女の子を定義付けるとかじゃなくて……なんて言うか,女の子の理想が詰まってる,みたいな。

素直さ,可愛いさ,全部ぎゅってなった笑顔。

その顔に,私も安心する。



「よろしく,ね」



はにかんで見せると,花沢さんは私をぎゅっと抱き締めた。
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