こんな溺愛,ありですか?
私は静かに覗き穴を覗いた。

直ぐに一歩下がって,山宮くんを見る。

私達と同じ,高校の制服。

間違いないと確信していた。



「や,山宮くん。あのね,ちょっと奥まで戻ってて欲しいなっ」



山宮くんはそんな私を退かす。

またピンポーンと耳障りにすら思える音が響いた。



ーガチャ



対面した2人の男子高校生は,互いに目を丸くする。

ま,まって…っ



「……だれ?」



不機嫌に眉を寄せたのは,山宮くんだった。

その迫力に負けた相手が,メガネに触れながら俯く。



「そっそれは……っ。こっちの,セリフっだ!」



どういうこと,なの……?



「いっいつもいつも静香さんの隣にっいてっ。きょっ今日なんて泊まり?! 知ってるんだからなっふざけるな。何なんだよお前っ!」



あなたこそ,何なんですか?
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