こんな溺愛,ありですか?

おまけー辰馬sideー

俺は,身内の意味でそれでもいつだって静香(あいつ)の1番だった。

許される範囲が一番大きいのは,間違いなく俺だった。

でもそんなのも,静香と同い年の,たかが17のガキに拐われた。

22の俺を当たり前のように牽制する,鼻の利いた犬みたいなやつ。

躊躇なく睨んで,躊躇なく割り込んで,それでも静香のためなら躊躇なく真っ先に頼りに来る。

独占欲も気概もあって,当たり前のように静香を大切に扱う。

そんな,むかつく(ガキ)

そんなむかつく男は,さらに腹立たしいことに,きっと静香を離すことは一生ない。

その上,お人好しで真っ直ぐな静香もよっぽど同じだと思う。

平気で俺を蹴飛ばすのも,生意気な口調で笑うのも,それを許したのも。

全部静香だけだったけど。




『昔から器用なのか不器用なのか意味不明なことばっかで,そのくせいつも目の前の最良を選ばない』



お前は最初から,そういう人間だった。
< 92 / 96 >

この作品をシェア

pagetop