イケメン総長は、姫を一途に護りたい
わたしに対する態度と違って、明らかに千隼くんには敵対心を抱いているように見える。


「…千隼くん!ひとまず落ち着いて…!」

「咲姫は下がってろ。こいつに関わると、ろくなことがねぇ」

「…どうして?千隼くん、この人のこと知ってるの?」

「知ってるもなにもっ…。こいつは、亜麗朱の総長だ」

「…亜麗朱!?」


『亜麗朱』って、校長先生が総長をしていたレディースの暴走族の名前だよね?


その、現総長が……この人っ!?



すると、その人は突然わたしの前で跪いて、そっと右手を取った。


「自己紹介が遅くなってしまい、申し訳ない。僕は、3年B組の二階堂光(にかいどうひかる)。亜麗朱の総長で、この学校の生徒会長をしている」


わたしは、その華麗な立ち居振る舞いに驚いた。

なぜなら、暴走族の総長というよりは、まるで紳士のようだったからだ。
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