イケメン総長は、姫を一途に護りたい
勝負は、俺の勝ちが明らかだった。

だからこそ、あそこで俺が負けるには…あえて隙を作るしかなかった。


二階堂の足のふらつきの隙は狙わない。

逆に、わずかな隙を与える。


俺が構えを緩めたその一瞬を、二階堂は見逃さなかった。


結果、俺は負け、咲姫は二階堂に守られることとなった。



「…これでいいんだよ」


俺は、乾いた笑いを浮かべた。

それを見て、カオルはそれ以上なにも言ってこなかった。



亜麗朱だって、慧流座と同じくらい勢力のある暴走族だ。

十分に、咲姫を守る力がある。


二階堂がそばにいるなら、尚更。


咲姫もきっと、こうなることを望んでいたはずだ。



俺の気持ちは、どうだっていい。

惚れた女が幸せであれば、それで。


だから、俺が勝負に負けるという選択は間違ってはいない。
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