イケメン総長は、姫を一途に護りたい
…結局、なにひとつしてあげれていないのにっ。


どうして千隼くんは、そんなにわたしに優しいの…?


「咲姫のその気持ちだけで、十分だよ。だから、もう泣くな」

「でも、誕生日プレゼントは必ず用意するから…!それまで、待っ――」

「じゃあ、今もらう」


……えっ…?


と、首を傾げたわたしに、視線を落とす千隼くんと目が合った。


そして、頭の後ろに手を添えられたかと思ったら…。

――ゆっくりと唇が重なった。


唇と唇とが触れ合う、初めてのキスの感触に、わたしはただただ目を丸くして呆然とするばかり。



前に、クラスメイトの前でキスされたことはあった。

唇に親指を置いて、その上からのキスのフリ。


そのときだって、すっごくドキドキしたんだけど――。


本当のキスは、あのときとは比べものにならないくらい…心臓が暴れた。
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