チョコにありったけの祈りを込めて
***
一月下旬から二月上旬までは、体感的に一番寒さが厳しい季節だ。
節分の翌日は“立春”で、暦の上では春の始まりなのだけれど、それを十日も過ぎたというのに今日は雪が降りそうなほど寒い。
私は長いマフラーをぐるぐる巻きにした完全防寒の服装で、待ち合わせをしていた居酒屋の扉を開けた。
すぐに見知った顔の男と目が合い、そのテーブルの向かい側に腰をおろす。
「毎年のことだけど、モコモコだな」
男友達である相田 爽来が、マフラーに半分顔をうずめている私を見て、口元を隠しながら笑っている。
爽来はゆるいパーマがかかったダークブラウンの髪で、濃い眉と目鼻立ちがキリリとしてカッコいい。なおかつオシャレだ。
「だって寒いの苦手なんだもん」
「それは知ってるけど」
静電気と戦いながらマフラーをはずしていると、爽来が三つ折りにされたメニューを開いて「なに飲む?」と私に尋ねた。
冷たい物を飲む気分ではないけれど、とりあえずウーロンハイを注文した。爽来はいつもビールだ。
一月下旬から二月上旬までは、体感的に一番寒さが厳しい季節だ。
節分の翌日は“立春”で、暦の上では春の始まりなのだけれど、それを十日も過ぎたというのに今日は雪が降りそうなほど寒い。
私は長いマフラーをぐるぐる巻きにした完全防寒の服装で、待ち合わせをしていた居酒屋の扉を開けた。
すぐに見知った顔の男と目が合い、そのテーブルの向かい側に腰をおろす。
「毎年のことだけど、モコモコだな」
男友達である相田 爽来が、マフラーに半分顔をうずめている私を見て、口元を隠しながら笑っている。
爽来はゆるいパーマがかかったダークブラウンの髪で、濃い眉と目鼻立ちがキリリとしてカッコいい。なおかつオシャレだ。
「だって寒いの苦手なんだもん」
「それは知ってるけど」
静電気と戦いながらマフラーをはずしていると、爽来が三つ折りにされたメニューを開いて「なに飲む?」と私に尋ねた。
冷たい物を飲む気分ではないけれど、とりあえずウーロンハイを注文した。爽来はいつもビールだ。
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