チョコにありったけの祈りを込めて
 私が淡々とした語り口でとうとうと喋れば、爽来はポカンとしたまま聞いていた。わけがわからない、とでも言いたげに。


「衣咲は……俺が好きってこと?」


 しばらく間があいたあと、爽来がテーブルに両肘をつき、体をグイッと前傾させながらそう言った。

 真剣な爽来の視線から私は目が離せない。
 心臓がバクバクと痛いくらいに激しく鼓動する中、彼の質問に力強くうなずいた。


「そうだよ。ずっと好きだったの。……友達のままならこの先もそばにいられたのに、やっぱり本当の気持ちを伝えたくなっちゃった。バカだよね」


 好きなのに、好きじゃないふりをして会うと、私の中に虚しさが残る。
 それに気づいてからは、心が冷えて辛かった。

 せっかく会えても辛いのは嫌だ。充足感に包まれたいという欲が出てしまった。

 私にとって、今日は勝負の日。

 ――― たとえ、爽来に会えるのが最後になるとしても。

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